絵本

4歳児におすすめの絵本『そらいろのたね』

画像元:写真AC https://www.photo-ac.com/

『そらいろのたね』(中川李枝子文、大村百合子絵:福音館書店)は、同じ作者、出版社から出ている「ぐりとぐら」シリーズがとても有名です。
しかし、あえて4歳児におすすめしたいのがこの『そらいろのたね』です。
『そらいろのたね』は、男の子の宝物の飛行機のおもちゃと、狐が自分の宝物だという空色の種を交換するところから始まります。
男の子が空色の種を植えるとやがて木ではなく家が建ち、どんどん大きくなるその木に色々な動物が集まってきます。
するとその家を見た狐が飛行機を返すから家を返してほしいと言い、家を帰しもらった狐は家の中にいた動物たちをみんな追い出すのですが、その家はどんどん大きくなり最後には破裂、びっくりした狐だけが残るというお話です。

4歳児の絵本は、複雑な4歳児の心を絵本の中で乗り越えられる、解きほぐせるような絵本を選ぶ

4歳児は、幼児期の思春期と言われるほど複雑な心をしています。
いままで「自分が!」という自我が育ってきていましたが、今度は社会性が育ち、社会の中にいる自分を意識することで「友達からどう思われているかな」「恥ずかしいな」という気持ちが生まれたり、社会の中の友達を見ることで「あの子いつもこうしてるな」「あれってずるいんじゃないかな」と他人への評価をつけ始めたりする時期だからです。
大人の言うことも素直に聞く、というよりは「本当にそうななのかな?」「でも自分はこう思うのにな」と色々考え始める時期であるため、大人が伝えたいことを押し付ける、というより、子どもが自分から色々考えたくなるような環境づくりが大事になってきます。
その時にとても有効なのが絵本です。

絵本に出てくる色々な性格の登場人物や、友達のあり方から子どもは色々なことを感じます。
明確に言葉にはできないような気持ちを抱くこともあるでしょう。
子どもが自分の心の中の葛藤を乗り越えたり、かたくなになりそうな心を解きほぐすのに、それはとても大切な経験です。

教訓になるような清く正しい絵本を与えてほしいというわけではありません。
こんなこともあるんだな、自分だったらどうするのかな、そんな風に考えるきっかけが子どもにとって良い影響を与えますし、そのきっかけは様々な絵本に含まれています。

「ずるい」という気持ちとの向き合い方を考える

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4歳児前後から「ずるい」という言葉が子どもから出てくるようになってきます。
「ずるい」とはなんなのでしょうか。
「うらやましい」とどうちがうのでしょうか。
では「どうすればずるくならない」のでしょうか。
『そらいろのたね』では、思わずずるい!と言いたくなってしまう場面が何度か出てきます。それに対して子どもがどう感じ、どう考えるのか、保護者も一度フラットな価値観で一緒に考えてみるのをおすすめします。
大人になってもずるいという気持ちを抱くことは多くありますが、多く抱きすぎると心苦しくなってしまう気持でもあります。
『そらいろのたね』をぜひ親子で読んで、「ずるい」という気持ちとの向き合い方を考える良い機会にしてみてください。

不安な気持ちを乗り越える・失敗しても大丈夫だと思える

4歳児なると、恥ずかしいとい気持ちもあり、「失敗したらどうしよう」と不安になったり失敗を恐れるようになってきます。(もちろん個人差で最初から慎重派な子、ずっと大胆な子もいます)
それは、大人が「大丈夫だからやってみよう!」と背中を押してもなかなか乗り越えるのが難し宇い気持ちです。
では、どうやって乗り越えるかと言えば、「やってみたらできた」「失敗しても大丈夫だった」という成功経験、安心できる経験によって乗り越えることができます。
しかし、現実ではなかなかそういった経験をさせたい時にできるわけではありませんし、そもそも不安で踏み出せなければ成功経験ができるわけがありません。
そんな時、絵本を通して「やってみたらできた」「失敗しても大丈夫だった」という物語に入り込むことは、まるで自分が経験したような気持ちの成長を子どもに与えます。

『そらいろのたね』でいえば、何ができるかわからないタネを植えたら、とっても素敵な家になりました。わからないけれどやってみたら素敵な物になったという経験です。
しかし、狐君が家を取り戻し、独り占めした後、家は壊れてしまいました。これは失敗の経験です。そう書くと、「やっぱり失敗って怖いじゃないか!」と思ってしまうかもしれません。
しかし、大事なのはこの失敗を、『そらいろのたね』の登場人物は誰もみんな笑ったり責めたりしないのです。失敗した時点で終わってしまいますが、「みんなで一緒に住んでたら良かったかな」「扉をあけてれば他の動物が教えてくれたかな」など「次はこうすればいいね」と子どもと話すことで失敗しても次がある、大丈夫と感じる経験になります。
最後はずるかった狐もなんだか許したくなっちゃう姿をしています。
この「許したくなる気持ち」というのも4歳児にとっては大事なような気がします。

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